遠方の実家の墓を閉じて遺骨を近くへ移したいのに、寺が埋葬証明書を書いてくれないとき|国の回答と、代わりの書面で改葬が許可された実例
実家の墓が遠くにあり、その墓を閉じて、遺骨を自分の暮らす地域の近くへ移したい。改葬許可の申請の準備を進めたところ、墓地の管理者である寺が、遺骨がその墓に納められていることを証明する書面を書いてくれない。申請が、そこで止まっている。この記事は、その状況について、国の文書と市町村の実例が何を書いているかを確かめます。
読んだのは、総務省 東北管区行政評価局 第4評価監視官室の「墓じまいに関する情報収集結果」(別添1)です。東北管内の9市町村に改葬の取扱いを聴き取り、国の回答の把握状況や、国民生活センターに寄せられた相談をまとめた資料です。当サイトは、この資料を2026-11-04に取得して、全文を読みました。
この記事が確かめる中心は、一つです。管理者が証明を拒んだときに、証明書に代わる書面で改葬が許可された実例が、資料に載っているか。載っています。ただし、その実例をそのまま全国に当てはめられるのかは、資料の書き方からは言えません。そこまでを、順に書きます。
条文が誰の書面を求めているかは、別の記事墓じまいに親族全員の同意は要るのかで、申請の窓口と必要書類は改葬許可の申請はどの市区町村の何課に出し、何を揃えるのかで確かめました。ここでは繰り返しません。
扱わないことがあります。寺に支払うお金が妥当かどうか、離檀の話をどう進めるか、誰かに相談するかどうかは、この記事は判断しません。資料に書いてあることを、書いてあるとおりに並べ、書いていないことは「記載なし」と書きます。
先に、呼び名を一つだけ|題の「埋葬証明書」と、資料の「埋蔵証明書」
施行規則第二条第二項第一号は、墓地や納骨堂の管理者が作成した、埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面を、改葬許可の申請書に添付する書類の一つとしています。総務省の資料は、この書面を「埋蔵証明書」と呼び、注で、この条文に定める書面のことだと説明しています。題の「埋葬証明書」も、同じ書面を指して使っています。
この記事では、以下「証明書」と短く書きます。資料の言い方をそのまま引くときだけ「埋蔵証明書」とします。
先に結論|国の回答と、代わりの書面で許可された実例はある。ただし回答は約70年前のもので、東北管内9市町村のうち7市町村は把握していなかった
- 施行規則第二条第二項第一号は、管理者が作成した証明書の添付を定めたうえで、括弧書きで「これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」でもよいとしています。
- 管理者が証明を拒んだ場合については、昭和30年2月28日 衛環第22号の回答があります(環境衛生課長から鳥取県衛生部長宛て)。市町村はできるかぎり管理者に証明書を出すよう指導することが求められ、それでもなお拒まれたときは「これに代わる立証の書面」で取り扱って差し支えない、という内容です。
- 資料は、この回答を約70年前のものとしています。聴取した東北管内9市町村のうち、7市町村は回答を把握していませんでした。
- 詳しく載っている実例は、どちらも令和2年度の2件です。管理者が不在だった例では、墳墓の写真と改正原戸籍で許可しています。寺院が作成を拒否した例では、契約書・使用許可証、墓石・墓誌の刻字の写真、除籍謄本・戸籍謄本の追加提出で許可しています。
- 全国の改葬件数は、平成26年度の約8万4千件から、令和6年度には約17万6千件に倍増しています(厚生労働省の衛生行政報告例、資料による)。
この資料は東北管内9市町村を聴いたもので、全国の市町村がこの回答どおりに扱うという意味ではありません。代わりの書面で必ず許可されるという意味ではありません。何を認めるかは市町村長の判断です。
資料が調べ始めたきっかけ|証明書を作ってもらえない、という行政相談
資料は、情報収集のきっかけを二つ挙げています。一つは行政相談です。東北管内には、墓じまいを考えているが、墓地を管理する寺院の住職から反対されている、という相談が寄せられました。全国では、墓地の管理者が不在で、改葬を伴う墓じまいに必要な証明書を作成してもらえない、という相談が寄せられている、と書かれています。
もう一つは、管内の有識者の意見です。寺院によって墓じまいにかかる費用が大きく異なり、一般に高額だ、という声を聞く、とあります。これは声として書かれたもので、資料は費用の統計を載せていません。
国の回答|昭和30年2月28日 衛環第22号は、管理者が拒んだ場合をどう書いているか
まず、条文の側です。施行規則第二条第二項第一号は、墓地等の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面を添付することを定め、括弧書きで「これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」と続けています(条文の表記のまま)。
次に、管理者が証明を拒んだ場合です。資料が根拠として挙げているのは、「墓地改葬許可に関する疑義について」という題の回答です。昭和30年2月28日付、衛環第22号で、環境衛生課長が鳥取県衛生部長に宛てて出したものです。資料はこれを「回答」と呼んでいて、この記事も同じ呼び方にします。
資料が書いている回答の内容は、二段になっています。
- 【1】墓地等の管理者が埋葬等の事実の証明を拒んだ場合、市町村は、できるかぎり、管理者に証明書を提出するよう指導することが求められる。
- 【2】それでもなお管理者が拒んだ場合には、「これに代わる立証の書面」で取り扱って差し支えない。
資料はこれを受けて、墓地等の管理者とのトラブルで証明書を取得できない場合でも、代わりの立証の書面を添付して改葬許可を申請することは可能で、市町村が関与することで墓じまいが進むこともある、と書いています。
そのうえで、資料は次の一文も書いています。「回答は約70年前のものであり、市町村がこの回答を知らないため、対応に苦慮しているケースがあるのではないかと考えられる」という一文です。「考えられる」とあるとおり、資料の推測で、そのケースがいくつあるのかは記載がありません。
回答の本文は、同じ総務省の資料の別添2「相談対応者向けQ&A(厚生労働省確認済み)」に抄として載っていて、当サイトはそれを読みました(2026-11-04)。問いは、管理者が証明に応じない場合に、申請人が事実を立証する書面を添えて申請することで市長が改葬許可書を交付してよいか、というものです。答えは「改葬許可の申請にあたり、墓地若しくは納骨堂の管理者が埋葬若しくは納骨の事実の証明を拒むべきでないのであるが、もし拒んだような場合はお尋ねのようにこれにかわる立証の書面をもって取り扱って差し支えない」です。
この答えには、続きがあります。「ただし、本法はあくまでも国民の宗教感情上に合致して支障なく事が運ばれることを最も重視すべきことで、このような場合においても極力当該管理者に証明書を出せるよう指導を行い万遺憾なきを期するようすべきである」という一文です。代わりの書面で差し支えないという部分と、管理者に証明書を出せるよう指導するという部分が、同じ答えの中に並んでいます。
代わりの書面で許可された実例|詳しく載っているのは令和2年度の2件
資料は、東北管内9市町村に改葬の取扱いを聴いた結果として、証明書に代わる書面で改葬を許可した例を載せています。詳しく載っているのは2件で、どちらも令和2年度の対応です。これらの市町村では、回答の内容も参考にして、市町村長が代わりの書面で許可した、と資料は書いています。2件が9市町村のうちいくつの市町村の出来事かは、記載がありません。令和2年度より後の年度に同じ扱いが続いているかも、記載がありません。
| 項目 | 事例1|墓地の管理者が不在 | 事例2|寺院が作成を拒否 |
|---|---|---|
| 対応時期 | 令和2年度 | 令和2年度 |
| 事情 | 墓じまいのため改葬許可を申請したが、改葬元の墳墓の墓地管理者が亡くなり、次の管理者が決まらず、証明書を添付できない | 市町村内にある寺院の檀家について、証明書を寺院に作ってもらえない。市町村に相談したのは、檀家の代理人の弁護士 |
| 市町村の動き | 施行規則第二条第二項第一号の括弧書きを適用した | 寺院に、墓地使用者から作成の依頼があれば本来応じることが原則だと、複数回にわたって説明した。寺院は拒み続けた。そこで、申請者からの事実関係上申書(寺院から証明書を作ってもらえないこと)などを確認し、括弧書きの「これにより難い特別の事情」に当たると判断した |
| 結果 | 代わりの書面で、改葬を許可した | 代わりの書面の追加提出を求め、その書類をもって、改葬を許可した |
事例1は、寺が拒んだ例ではありません
事例1は、管理者が亡くなって不在になった例です。この記事の読者の状況に当たるのは、事例2です。事例1を載せたのは、括弧書きが実際に適用され、どんな書面で許可されたかが分かるからです。
資料は、事例1の補足として、もう一つ別のケースにも触れています。公営墓地に改葬したい人が、墓地の管理者の不在で証明書を添付できなかったケースです。墳墓のある市町村が括弧書きを適用し、代わりの書面で改葬許可証を交付したため、公営墓地に改葬できた、という内容です。このケースの件数と、どんな書面だったかは、記載がありません。
代わりの書面の内訳|何を確かめるための書面だったか
| 資料が書く「確認したこと」 | 事例1の書面 | 事例2の書面 |
|---|---|---|
| 遺骨が、その墳墓に埋葬等・埋蔵されていること | 【1】墳墓の写真と【2】改正原戸籍の2点で確認した(どちらがどの事項を示したかは記載なし) | 墓石・墓誌に刻字されている写真 |
| 故人と申請者との続柄 | 同じ2点で確認した | 除籍謄本・戸籍謄本 |
| 申請者が、その墳墓の使用者であること | 記載なし | 契約書・使用許可証 |
事例2は、書面の名前と、何を確かめるための書面かの対応が、資料に書かれています。事例1は、2点の書面で2つの事項を確かめた、という書き方です。「記載なし」は、資料に書かれていないという意味で、確認しなかったという意味ではありません。
改正原戸籍は、資料に説明がありません。戸籍の様式が改められる前の古い戸籍を指す言葉として使われていると、当サイトは読んでいます。なお、当サイトが戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の本文を確かめたところ、法律は「改製」の字を6か所で使っていて、「改正原戸籍」という語は出てきません(2026-11-04時点)。ここでは資料の表記のまま書いています。
事例2で、寺院が挙げた理由
寺院は、改葬を認めていないのに、行政が勝手に改葬を許可することは寺院の運営の妨害同然だ、という主張を繰り返した、と資料は書いています。事例2に書かれている寺院の理由は、この1つです。拒む寺院がほかにどんな理由を挙げるのかは、記載がありません。
市町村の担当者が挙げた「代わりの書面」の候補|実際に許可に使われた記録ではない
資料は、聴き取った市町村の担当者が考えた、証明書に代わる書面の具体例も載せています。「考えられるのでないか」という言い方で挙げられたものです。実例2件で実際に使われた書面とは、別に扱われています。
- 【1】火葬許可書、火葬埋葬許可証の写し
- 【2】死亡の事実を証明する書面、死亡者の除籍謄本
- 【3】墓誌、過去帳
この3組で許可が出たという記載は、資料にありません。事例2で使われた書面と名前が重なるのは、除籍謄本と、墓誌(事例2では墓石・墓誌の刻字の写真)です。過去帳と墓誌は、資料に説明がありません。過去帳は、寺などが亡くなった人の名や亡くなった日を書き留める帳面、墓誌は、墓に納めた人の名などを刻んだ石の板や碑のことだと、当サイトは読んでいます。
聴き取った9市町村のうち、7市町村は回答を把握していなかった
資料は、市町村長が証明書に代わる書面で改葬を許可するときは、回答の内容も参考にして「これにより難い特別の事情」の判断や、墓地等の管理者への指導などを行うことになる、と書いたうえで、今回聴取した東北管内9市町村のうち7市町村では、回答を把握していなかった、と書いています。
この7市町村が挙げた意見は、資料に3つ載っています。
- 意見の1つ目|回答が出てから年数がたち、ほかの市町村の担当者も知らない可能性があるので、国からもう一度知らせてほしい。
- 意見の2つ目|証明書の代わりに添える書面として、何が適当か分からない。どんな場合にどの書類で代えられるのか、具体的な例を示してほしい。
- 意見の3つ目|括弧書きの「これにより難い特別の事情のある場合」や「これに準ずる書面」の扱いについて、窓口の実務を想定した手引きを作って知らせてほしい。
「回答を把握していなかった」は、その市町村の墓地担当課の担当者が、回答を知らなかったという意味です。その市町村が代わりの書面を認めない、という意味ではありません。7市町村が実際にどう扱ったかは、記載がありません。
資料は、東北管内の2つの消費生活センターにも回答の把握状況を確かめていて、いずれも把握していなかった、と書いています。
この回答を「市町村に聞けば必ず通る決まり」と読めない理由|資料に書かれた3つの事実
昭和30年の回答を、いま確実に通る決まりのように読むことは、資料の書き方からはできません。資料に書かれていることは、次の3つです。
- 【1】国の回答は、昭和30年2月28日 衛環第22号で、資料はこれを約70年前のものと書いています。
- 【2】聴取した東北管内9市町村のうち、7市町村が、この回答を把握していませんでした。
- 【3】だから、「市町村に聞けば必ず代わりの書面で通る」という意味にはなりません。資料が示しているのは、回答を知らない窓口があることと、回答の内容も参考にして代わりの書面で許可した市町村があること、その両方です。
実例2件は、市町村長が「これにより難い特別の事情」に当たるかを判断し、必要と認める書面を求めた結果です。どの書面を認めるかは市町村長が決めることで、2件で使われた書面と同じものが、ほかの市町村で同じように認められると、資料は書いていません。
寺とのお金の相談は、資料では国民生活センターに寄せられた事例として出てくる
資料は、国民生活センターが令和3年度から7年度(7年4月25日時点)までに受け付けた、墓に関する直近20件の事例を見ています。消費生活相談データベースで、大分類「土地・建物・設備」、中分類「屋外装備品」、小分類「墓」を選んだ検索結果です。資料は、そこに墓じまいや改葬に関する相談があるとして、次の3つを載せています。総務省が相談データベースに基づいてまとめた文です。
- 【1】実家の墓じまいをしたいが、寺院から離檀料などが高額になると言われ、離檀を止められている。
- 【2】寺院から改葬費用として100万円を請求されているが、予算は20万円で、それを超えて払うつもりはない。払わないと焼骨を返してもらえない。
- 【3】遠方の寺院の永代供養墓に納めている両親の焼骨を、近くの霊園に移したいが、僧侶から高額な離檀料を求められるなどして、話が進まない。
金額が書かれているのは、【2】だけです。100万円は、寺院から請求されたと書かれている「改葬費用」の額、20万円は相談者の予算です。この2つの金額は、国民生活センターに寄せられた個々の相談に書かれていた数字で、墓じまいにいくらかかるのか、寺がいくら請求するのかの、一般的な水準を示すものではありません。【1】と【3】は、「高額な離檀料」とだけ書かれ、金額は書かれていません。
【3】は、遠方の寺院から近隣の霊園へ移したいという内容で、この記事の読者の状況と似ています。ただし、資料は3つの相談について、証明書の作成を拒まれたかどうかを書いていません。証明書を書いてもらえないことと、離檀料や改葬費用の請求が、同じ相談の中で起きたのかどうかは、記載がありません。
資料によると、国民生活センターは、高齢者・障害者に関わる悪質商法や製品などのトラブルを防ぐための啓発資料「見守り新鮮情報」で、墓じまいのトラブルへの注意喚起を複数回行っています。資料は、第286号(平成29年7月26日発行)と第424号(令和4年6月28日発行)を挙げています。当サイトは、この2号の本文を確認していません。
東北管内の消費生活センターに寄せられた、離檀に関する相談
資料は、東北管内の2つの消費生活センターから、墓じまいに関する相談の受付状況も聴き取っています。どちらのセンターも、直近3年(令和4年度〜6年度)で数件を受け付けていて、改葬に関する相談として資料に載っているのは1件です。
- 対応時期|令和6年度
- 相談の内容|寺院が他県にあり、墳墓の管理が大変なので離檀を申し出たが、寺院に受け入れてもらえない。現在の居住地近くの寺院からは、離檀証明書があれば供養すると言われている。
- センターの対応|仏教専門の相談機関を案内し、寺院が所属する宗派の相談日と電話番号を伝えた。
この相談に出てくる「離檀証明書」が、どんな書面なのか、改葬許可の申請に添える証明書とどういう関係にあるのかは、資料に説明がありません。
全国の改葬件数は、平成26年度の約8万4千件から、令和6年度には約17万6千件に倍増している
資料のまとめに、厚生労働省の衛生行政報告例によれば、全国における改葬件数は、平成26年度に約8万4千件で、令和6年度には約17万6千件に倍増している、とあります。資料は、このことから、改葬を伴う墓じまいに関する相談は今後増えていくものと考えられる、としています。
衛生行政報告例は、衛生関係の法令の施行に伴う、各都道府県、指定都市、中核市の衛生行政の実態を把握するために、毎年度と隔年で実施される、統計法に基づく一般統計調査です(資料の注)。当サイトは、この報告例の表そのものは確認していません。数字は、資料に引かれた「約」の値です。相談が今後増えるという見通しは、資料の考えで、当サイトが確かめた数字ではありません。
改葬許可が要る場合と、要らない場合|資料が厚生労働省の見解として書いていること
資料は、承継者がいないなどの理由から、墓じまいに伴って掘り出した焼骨を、【1】自宅に安置する場合、【2】散骨する場合は、墓地、埋葬等に関する法律第五条第一項に定める市町村長の改葬許可は必要ないとされている、と書いています。厚生労働省の見解とされていて、資料は、令和5年9月の総務省行政評価局「墓地行政に関する調査」の「法に照らした運用上の疑義」によるとしています。
一方、掘り出した焼骨を他の墳墓または納骨堂に移す場合は、第五条第一項に基づく市町村長の改葬許可が必要で、施行規則第二条第二項第一号により、管理者の作成した証明書を申請書に添付することとされています。遺骨を近くへ移す先が別の墓や納骨堂であれば、こちらに当たります。
自宅への安置や散骨が、ほかの法令や墓地の規則でどう扱われるかは、資料に記載がなく、この記事も確かめていません。
資料の結論|国と国民生活センターに、周知が「望まれる」としている
資料のまとめは、次の二つを挙げています。
- 【1】厚生労働省は、市町村が改葬を伴う墓じまいのトラブルに際して適切かつ円滑に対応できるよう、申請者が墓地等の管理者から証明書を取得できない場合の対応を、市町村に周知することが望まれる。
- 【2】国民生活センターは、墓じまいに関する相談対応の参考となるよう、相談対応職員に回答の内容を周知することが望まれる。
「望まれる」という書き方です。この資料の別添2には、厚生労働省の事務連絡がQ&Aの形で載っています。次の節で見ます。
令和8年1月23日の事務連絡|国が挙げた「代わりの書面」の例は、墳墓の写真と申述書
別添2は「相談対応者向けQ&A(厚生労働省確認済み)」という題で、寺院等が証明書を作成してくれない場合の取扱いを問答の形にしたものです。そのQ&Aは、施行規則第二条第二項第一号の括弧書きを引いたうえで、添付する書面は「必ずしも埋蔵証明書に限定されるものではありません」と書いています。
そして、改葬を許可するかどうか、「市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」として具体的にどのような書面を求めるかは市町村長の判断になるとしたうえで、厚生労働省が事務連絡で挙げた例として、次の2つを載せています。
- 【1】墳墓の写真
- 【2】埋蔵証明書を提出できない経緯を記載した申述書
「など」と書かれていて、2つに限る書き方ではありません。事務連絡の名義は「改葬許可申請において埋蔵証明書の添付により難い特別の事情があると認められる場合の取扱い(Q&A)について」で、令和8年1月23日付け、厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課の事務連絡です。別添2には、この事務連絡の抄も載っています。
先に見た昭和30年の回答が約70年前のものだったのに対し、こちらは令和8年のものです。7市町村が挙げた意見の2つ目は、代わりの書面として何が適当か分からないので具体的な例を示してほしい、というものでした。この事務連絡は、その具体例に当たる書面を2つ挙げています。
ただし、当サイトが読んだのは別添2に載っている抄で、事務連絡そのものの本文は手元にありません。宛先も別添2には書かれていません。事務連絡がどの範囲にどう届いたか、各市町村がこの例をどう扱っているかは、別添2に記載がなく、当サイトも確かめていません。
この記事が言えないこと
「記載なし」は、資料に書かれていないという意味で、そのことが無いという意味ではありません。
- この資料は東北管内9市町村を聴いたもので、全国の市町村がこの回答どおりに扱うという意味ではありません。
- 代わりの書面で必ず許可されるという意味ではありません。何を認めるかは市町村長の判断です。
- この記事の読者の市町村が、回答を知っているか、代わりの書面を認めるか、どんな書面を求めるか。資料にその市町村の記載はなく、当サイトも確かめていません。
- 資料が載せているのは、許可した例だけです。代わりの書面を出しても許可に至らなかった例が、あるのかないのか、あるならいくつか。記載なし。
- 実例2件が、9市町村のうちいくつの市町村の出来事か。令和2年度より後も同じ扱いが続いているか。記載なし。
- 寺院が証明書を拒む理由の全体。資料に書かれているのは、事例2の寺院の主張の1つです。
- 寺に請求される金額が妥当かどうか。資料は判断していません。
- 令和8年1月23日の事務連絡が、どの範囲にどう届いたか。宛先は別添2に書かれていません。各市町村が、墳墓の写真と申述書を実際に受け付けているかどうかも、記載なし。
これらを書かないのは、確かめられた根拠がないからです。当サイトが持っていないだけで、無いという意味ではありません。
出典と確認日
| 出典の名義 | URL | 確認日 |
|---|---|---|
| 総務省 東北管区行政評価局 第4評価監視官室「墓じまいに関する情報収集結果」(別添1)。回答の内容、実例2件、9市町村のうち7市町村の把握状況、国民生活センターと消費生活センターの相談事例、改葬件数は、この資料による | https://www.soumu.go.jp/main_content/001053400.pdf | 2026-11-04 |
| 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十四号)第二条第二項第一号(括弧書きの文言を原文で確認)/e-Gov法令検索 | https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100024 | 2026-11-04 |
| 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第五条第一項・第二項・第八条(本文をe-Govの法令データで確認)/e-Gov法令検索 | https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 | 2026-11-04 |
| 総務省「別添2 相談対応者向けQ&A(厚生労働省確認済み)」。回答の本文の抄、令和8年1月23日の事務連絡の抄、「必ずしも埋蔵証明書に限定されるものではありません」の記述は、この資料による | https://www.soumu.go.jp/main_content/001053244.pdf | 2026-11-04 |
| 「墓地改葬許可に関する疑義について」昭和30年2月28日 衛環第22号 環境衛生課長から鳥取県衛生部長宛て回答(本文の抄を上の別添2で確認) | 上の別添2 | 2026-11-04 |
| 「改葬許可申請において埋蔵証明書の添付により難い特別の事情があると認められる場合の取扱い(Q&A)について」令和8年1月23日付け 厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課 事務連絡(抄を上の別添2で確認。事務連絡そのものの本文は確認していません) | 上の別添2 | 2026-11-04 |
| 厚生労働省 衛生行政報告例(改葬件数。上の資料が引いた数字。報告例の表は直接確認していません) | 上の総務省の資料 | 2026-11-04(資料を通じて) |
| 国民生活センター 消費生活相談データベースの事例、「見守り新鮮情報」第286号・第424号(上の資料が引いた範囲のみ。直接確認していません) | 上の総務省の資料 | 2026-11-04(資料を通じて) |