石屋マップ

墓じまいは石材店・代行業者・行政書士のどこに何を頼む仕事なのか|仕事を3つに分け、許可の種類で範囲を見る

「墓じまいをすると決めた。でも、石材店、代行業者、行政書士のうち、誰に何を頼む話なのか分からない。」そんなところで手が止まることがあります。

先にお断りします。この記事は、どこに頼むかを決めません。業者の名前も、順位も、費用の相場も書きません。書くのは、次の2つです。

行政書士や代行業者がどこまで引き受けるかは、この記事では調べていません。確かめていないことは書きません。

長いと感じたときは、最後の「それぞれ、誰に確かめられるか」の表だけ先に見ても読めます。

墓じまいは、3つの仕事でできています

「墓じまい」は、法律に定義のある言葉ではありません。今ある墓石を撤去し、墓地を使う権利を管理者に返すところまでを含めて、そう呼ぶ通称です。この中身を分けると、3つになります。

仕事相手建設業の許可の話か
【1】役所への申請(改葬許可)遺骨が今ある墓地の、市区町村いいえ
【2】墓地の管理者との手続き・精算寺院や霊園などの管理者いいえ
【3】墓石の撤去工事工事をする事業者はい

改葬とは、遺骨を別の墓や納骨堂に移すことです。この改葬の手続きと、墓石の撤去や墓地を返す手続きは、法律の上では別の行為として組み立てられています。

どの相手から先に動くか、順番は法律に定められていません。ただし、役所への申請には墓地の管理者が作る書面を添える決まりがあります。【1】と【2】はつながっています。【3】は、許可のしくみが別にあります。

【1】役所への申請|改葬許可

遺骨を別の場所に移すには、市町村長の許可が要ります(墓地、埋葬等に関する法律第五条第一項)。これを改葬許可といい、許可が出ると許可証が交付されます(同法第八条)。

申請先は、遺骨が今ある墓地の所在地の市区町村です(同法第五条第二項)。お住まいの市区町村とは限りません。

申請書に書く事項は、法律の施行規則(法律を実際に動かすための、国の細かい決まり)に並んでいます(同規則第二条第一項)。死亡した方の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬または火葬の場所と年月日、改葬する理由、改葬先の場所です。

あわせて、申請する人の住所・氏名、死亡した方との続柄、墓地使用者(その墓地を使う権利を持つ人)などとの関係も書きます。

申請書には、書類を添えます(同規則第二条第二項)。

手数料の額や申請書の様式は、市区町村ごとに定められています。この記事では扱いません。申請先の市区町村に確かめる事柄です。

ここまでに、建設業の許可は出てきません。【1】は役所の手続きです。

【2】墓地の管理者との手続き・精算

墓地の管理者は、寺院や霊園などです。ここでいう精算とは、墓地を使う権利を返すなど、墓地との契約を締めくくる手続きのことです。

改葬の手続きの中で、管理者には書類を作る役割があります。【1】の添付書類にある、埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面です(施行規則第二条第二項第一号)。管理者の書面を添える定めなので、役所への申請は、管理者の書面を前提に組み立てられています。

ただし、この書面をそのまま使えない特別の事情があるときは、市町村長が必要と認める、これに準ずる書面でよいとする定めもあります。

墓地を使う権利を返す手続きは、契約の手続きです。返す条件や、精算の中身は、墓地の管理者との契約によります。この記事では調べていません。金額も書きません。

ここにも、建設業の許可は出てきません。

【3】墓石の撤去工事|ここだけが建設業の許可の話です

墓石を撤去する。新しい墓を据え付ける。土が崩れないように押さえる。こうした工事を引き受けるのが【3】です。工事を仕事として引き受けることを「請け負う」といいます。建設業を営むには、原則として国の許可が要ります(建設業法第三条第一項)。

許可を出すのは、営業所(本店や支店)が1つの都道府県だけにある事業者なら、その都道府県の知事です。2つ以上の都道府県に営業所がある事業者なら、国土交通大臣です。

許可は、工事の種類ごとに与えられます(同条第二項)。これを許可業種といいます。法律の別表には、29の許可業種が並んでいます。墓の工事に関わる名前として、石屋マップが使っているのは、次の3つです。

許可業種国の告示(国が定めて公表した決まり)と例示に書かれている工事
石工事業石材を加工したり積んだりして、工作物(土地に据え付けて作るもの)をつくる工事。または、工作物に石材を取り付ける工事です。石材には、コンクリートブロックや擬石(石に似せて作った材料)も含みます。例示は「石積み(張り)工事」「コンクリートブロック積み(張り)工事」です。
とび・土工工事業例示に「重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事」(重い物をクレーンなどで持ち上げ、運び、置く工事)と、「土留め工事」(土が崩れないように押さえる工事)があります。斜面の土留めや、重い墓石の据え付けは、この区分と関わりがあります。
解体工事業工作物の解体を行う工事です。平成28年(2016年)6月1日に新設された許可業種で、それ以前は、工作物の解体は、とび・土工工事業などの中で扱われていました。

なお、建設業法の別表第一は、左の欄に工事の種類を、右の欄に建設業の名前を並べる形になっています。石の場合は、工事の種類が「石工事」、建設業の名前が「石工事業」です。とびの場合は、工事の種類が「とび・土工・コンクリート工事」、建設業の名前が「とび・土工工事業」です。工事の名前と許可の名前が同じではない業種があります。

押さえておく点は、次のとおりです。墓石の撤去・据え付け・土留めのそれぞれに、「この業種の許可が必須」と一律に決まっているわけではありません。工事の内容と金額によって、必要な許可の有無が変わります。石屋マップは、告示と例示に書かれていることまでを示し、個別の工事にどの許可が要るかの判定はしません。この記事も同じです。

「許可が無い」は「できない」ではありません

許可を持たずに営業できる事業者がいます。建設業法第三条第一項のただし書が、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」を、許可が要る人から外しているからです。

この「軽微な建設工事」の範囲は、建設業法施行令第一条の二にあります。工事1件の請負代金(工事を引き受けるときの代金)が500万円に満たない工事です。ただし、建築一式工事(建物を総合的に建てる工事の区分)には、別の金額の基準があります。

つまり、1件500万円に満たない工事しか請け負わない事業者は、許可そのものを持たずに営業できます。許可が無いことは、墓の工事ができない、という意味ではありません。

では、墓の工事はいくらになるのか。この記事は書きません。工事の費用の相場は、確かな資料が手元にないためです。500万円という数字は、許可が要るかどうかの線引きです。墓の工事の金額の目安ではありません。

反対向きにも、同じことが言えます。許可を持っていることは、墓石を扱っていることを意味しません。石工事業の許可は、庭石や内装の石なども含めて、石を使う工事をまとめて1つにした許可だからです。

名簿や許可で分かることそれだけでは分からないこと
石工事業の許可を持っている墓石を扱っているかどうか(庭石や内装の石を扱っているのかもしれません)
石工事業の許可を持っていない。または、ほかの業種の許可だけを持っている墓石を扱わないとは限りません(1件500万円に満たない工事だけなら、許可は要りません)

許可を持つ事業者のうち、墓石を扱うのは何社か

石屋マップは、都道府県が公開する建設業許可業者名簿から、石工事業の許可を持つ事業者を、市区町村ごとに並べています。載せているのは30の都府県の分で、石工事業の許可を持つ事業者は54,496社です。全国の数ではありません。

国土交通大臣の許可を受けた事業者と、建設業の許可を持たない石材店は、この数に入っていません。

許可の名簿には、墓石を扱うかどうかは書かれていません。そこで石屋マップは、事業者ごとに自社サイトを確かめています。その結果、自社サイトで取り扱いを読めたのは352社でした。このうち、墓石を扱っていたのは301社です。

この数字から言えるのは、許可を持つ事業者の中に、墓石を扱う事業者が実際にいる、というところまでです。次のことは言えません。

「記載なし」の意味

石屋マップは、自社サイトの確認結果を記号で示しています。○は自社サイトに記載があったこと、−は自社サイトにその記載はなかったこと、?は確認できていないことを表します。

自社サイトに書いていないことは、やっていないことを意味しません。

「?」には3通りあります。まだ調べていない場合。自社サイトが見つからなかった場合。その会社のサーバー(サイトを置いているコンピューター)が、機械での読み取りを断った場合です。「?」の多くは、その事業者が扱っていないという意味ではありません。

墓地の決まりは、許可とは別の話です|指定石材店

寺院墓地や霊園の中には、工事に入れる石材店をあらかじめ指定している所があります。管理者から、指定の石材店があると告げられる場面があります。

指定があるかどうか、あるならどんな内容かは、墓地や霊園の管理者が定めます。石屋マップは、その有無も内容も把握しておらず、名簿にも持っていません。決まりがあるかどうかは、墓地の管理者に確かめる事実です。

建設業の許可は、法律が事業者に求める条件の話です。指定の決まりは、その墓地が工事に誰を入れるかの話で、管理者が定めます。2つは別の話です。指定のある墓地では、工事に入れる事業者は、許可の有無とは別に、墓地の決まりで定まります。

それぞれ、誰に確かめられるか

ここまでの内容を、確かめられる先ごとに並べます。

確かめたいこと確かめられる先
改葬許可の申請書の様式、手数料遺骨が今ある墓地のある市区町村
埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面の出し方墓地の管理者
工事に入れる石材店が指定されているか墓地の管理者
墓地を使う権利を返す条件、精算の中身墓地の管理者
事業者が建設業の許可を持っているか、どの業種か都道府県などが公開する建設業許可業者名簿
事業者が墓石を扱っているか事業者本人(自社サイト、問い合わせ)
見積書や契約書に、【1】【2】【3】のどれが含まれ、どれが含まれていないか見積書や契約書を出す事業者
立ち会えないとき、工事の様子をどんな形で知らせてもらえるか(写真など)工事をする事業者

石屋マップは、事業者の見積書の書き方や、工事のあとの報告の仕方を調べていません。この表は確かめられる先の一覧です。事業者の優劣を示すものではありません。

この町で石工事業の許可を持つ事業者

石屋マップのトップから市区町村を選ぶと、その市区町村で石工事業の許可を持つ事業者の名簿が見られます。

この記事の内容に一番近いのは、この名簿です。名簿で分かることと、分からないことを分けておきます。

名簿で分かること

名簿で分からないこと

出典と確認日

法令の文言は、e-Gov法令検索の原文で確かめました。告示と例示は、国土交通省の資料によります。