墓じまい・改葬で石材店に頼む範囲と、その前後(役所・寺)|石屋マップの読み方
墓じまいと改葬は何が違うか
改葬は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第二条第三項に定義がある言葉です。同項は改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定めています。遺骨を別の場所へ移すこと、というのが法律上の意味です。
墓じまいは、この法律に定義がある言葉ではありません。既存の墓石を撤去し、墓地の使用権を管理者に返すところまでを含めて指す通称として使われています。改葬(遺骨を移す手続き)と、墓石の撤去・墓地の返還(工事と契約の手続き)は、法律の上では別の行為として組み立てられています。
手続きの当事者は3つ
墓じまい・改葬には、性格の異なる三つの当事者が関わります。遺骨のあった墓地の所在地を管轄する市区町村、墓地の管理者である寺院や霊園、そして墓石の撤去や新しい墓の工事を行う事業者です。
| 墓のある市区町村 | 改葬許可を審査し、許可証を交付する(墓地、埋葬等に関する法律第五条・第八条) |
|---|---|
| 墓地の管理者(寺・霊園) | 埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証明する書面を作成する(同法施行規則第二条第二項第一号) |
| 工事をする事業者(石材店等) | 墓石の撤去・新しい墓の据え付けなどの工事を請け負う |
どの当事者を先に動かすかという順番は、法律には定められていません。ただし改葬許可の申請には、墓地の管理者が作成した証明書の添付が必要という構造があります。市区町村・管理者・事業者の三者は、それぞれ別の役割を持ちながら、手続きの中でつながっています。
改葬許可はどこに出すか
改葬の許可権者は、墓地、埋葬等に関する法律第五条に定められています。同条第一項は「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければならない」とし、第二項は改葬について「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行なうものとする」と定めています。申請先は、遺骨がいま実際にある墓地の所在地の市区町村です。
申請書に書く事項は、同法施行規則第二条第一項に列挙されています。死亡者の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬又は火葬の場所と年月日、改葬の理由、改葬の場所、申請者の住所・氏名・死亡者との続柄などです。同条第二項は添付書類として、墓地の管理者が作成した埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面、墓地使用者等以外の者が申請する場合の承諾書などを定めています。
手数料の額や申請書の様式は、市区町村ごとに定められています。この解説ページでは、法律・省令に定めのある項目までを事実として示し、市区町村ごとに異なる手数料や様式には立ち入りません。
「石工工事業の許可」は何か
石工工事業は、建設業法第二条第一項の別表第一に定める二十九の建設業許可業種の一つです。建設工事の内容を定める告示は、石工事を「石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事」と定めています。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインは、その例示として「石積み(張り)工事」「コンクリートブロック積み(張り)工事」を挙げています。
建設業を営むには、建設業法第三条第一項により、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要です。ただし同項ただし書は「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」を許可の対象外としています。この軽微な建設工事の範囲は建設業法施行令第一条の二に定めがあり、工事一件の請負代金の額が五百万円に満たない工事(建築一式工事を除く)がこれにあたります。五百万円以上の石工事を請け負うには、石工工事業の許可が必要になります。
ここから分かるのは、許可という制度が工事の金額と種類で区分を決めているという事実です。石工工事業の許可を持っていることは、その事業者が墓石を扱っていることを意味しません。許可を持たない、あるいは許可業種が石工工事業以外であることも、その事業者が墓石を扱わないことを意味しません。五百万円未満の工事しか請け負わない事業者は、許可そのものを持たずに営業できるためです。
墓石の撤去・据え付け・土留めはどの業種か
解体工事業は、建設業法の許可業種の中では新しく、平成二十六年法律第五十五号による建設業法等の改正で新設され、平成二十八年六月一日に施行された業種です。改正前は、工作物の解体はとび・土工工事業などの中で扱われていました。建設工事の内容を定める告示は、解体工事を「工作物の解体を行う工事」と定めています。
据え付けや土留めは、とび・土工・コンクリート工事業に関わる項目として、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインの例示に含まれています。同ガイドラインは、とび・土工・コンクリート工事の例示として「重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事」や「土留め工事」を挙げています。斜面の土留めや、重い墓石の据え付けは、この業種区分と関わりがあります。
ただし、墓石の撤去・据え付け・土留めのそれぞれについて「この業種の許可が必須である」と一律に決まっているわけではありません。工事の内容と金額(五百万円という軽微な工事の基準)によって、必要な許可の有無は変わります。当サイトは、業種の告示・例示に書かれている事実までを示し、個別の工事にどの許可が要るかの判定は行いません。
指定石材店制について
寺院墓地や霊園の中には、工事に入れる石材店をあらかじめ指定している所があります。指定の有無や内容は、墓地・霊園ごとに管理者が定めるものです。当サイトはこの決まりの有無や内容を把握しておらず、名簿としても持っていません。決まりの有無は、墓地・霊園の管理者に確認する事実です。
このサイトの読み方
石屋マップは、都道府県の建設業許可業者名簿のうち、石工工事業の許可を持つ二十八都府県・五万二千二百七十九社を、市区町村ごとに並べたデータベースです。この範囲は、都道府県知事が許可した建設業者のうち石工工事業の許可を持つ者だけです。国土交通大臣許可の業者(複数の都道府県に営業所を置く会社)と、建設業許可を持たない石材店は含みません。「一社もない」と表示されている市区町村も、この範囲での話です。
石工工事業の許可は、石を使う工事をまとめて一つにしています。そのため許可の有無だけでは、その事業者が庭石を扱うのか、内装の石を扱うのか、墓石を扱うのかは分かりません。当サイトは事業者ごとに自社サイトを確認し、記号で示しています。○は自社サイトに記載があったこと、−は自社サイトにその記載はなかったこと、?は確認できていないことを表します。「?」には、まだ調べていない場合、自社サイトが見つからなかった場合、その会社のサーバーが機械での読み取りを断った場合の三通りがあります。「?」の多くは、その事業者が扱っていないという意味ではありません。
「石が本業」といえる事業者は、商号に「石材」「銘石」「大理石」「御影石」「石工店」「石工房」などが入っている事業者、または二十九の建設業許可のうち石工工事業ひとつしか持っていない事業者のどちらかに当てはまる事業者として数えています。「立石工務店」「白石工業」のように、姓や地名の「石」が入っただけの商号は石材業と区別できないため、この数え方には入れていません。砕石を扱う事業者も、石材店とは別のため入れていません。
許可業種の数は、一社がいくつの業種の許可を持っているかを示す数字です。数が少ないほど石が本業に近く、多いほど総合的な建設会社である可能性が高くなります。ただし実際にどの工事を主に受けているかは名簿に書かれていないため、当サイトは名簿にある事実だけを示し、事業者の優劣や順位付けは行いません。
代表者の氏名は個人情報にあたるため、すべての都府県について掲載していません。石材の価格や墓石の相場は、名簿に記載がないため掲載しません。一部の都府県については、名簿の出どころである都道府県が資料の加工と再配布を許可していないため、事業者の名称と所在地、石工工事業の許可を持つという事実だけを掲載し、許可番号・許可業種の内訳・資本金額は掲載していません。
出典と調査基準日
調査基準日 2026-09-10
| 墓地、埋葬等に関する法律 | 第二条第三項(改葬の定義)・第五条(許可権者)・第八条(許可証の交付) e-Gov法令検索 |
|---|---|
| 墓地、埋葬等に関する法律施行規則 | 第二条(改葬許可申請書の記載事項・添付書類) e-Gov法令検索 |
| 建設業法 | 第二条第一項・別表第一(業種区分)・第三条第一項(許可と軽微な建設工事の除外) e-Gov法令検索 |
| 建設業法施行令 | 第一条の二(軽微な建設工事の範囲) e-Gov法令検索 |
| 建設業許可事務ガイドライン(業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方) | 石工事・とび・土工・コンクリート工事・解体工事の内容と例示 国土交通省 |
| 「建設業法施行規則の一部を改正する省令」の公布について | 解体工事業の新設(平成二十六年法律第五十五号・平成二十八年六月一日施行) 国土交通省 |